2014年12月にマイナーチェンジを受け、新たに「X-URBAN」という新機種も追加設定した「アクア」。世界最高を謳う低燃費性能を武器に、マイナーチェンジ直前の売り上げも、ライバルのコンパクトカーや軽自動車を抑えて全乗用車ナンバーワンを死守している人気だ。
発売から4年経過しても販売が鈍ることのない同車だが、値引きはどうなのか。相変わらず値引きが少ないのか、他の人気車種、とりわけ低燃費を武器に「アクア」に迫るライバルと比較しながら検証してみました。
低燃費車値引き比較表
メーカー・車名 | トヨタ アクア | ホンダ フィットハイブリッド | マツダ デミオ SKYACTIVーD | 日産 ノートDIG‐S |
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車両価格 | 1,761,382~2,046,109 | 1,681,700~2,253,400 | 1,782,000~2,192,400 | 1,632,960~1,953,720 |
JC08モード燃費率(㎞/L) | 33.8~37.0 | 29.0~36.4 | 26.4~30.0 | 24.0~25.2 |
エンジン形式 | 1.5L ハイブリッド | 1.5L ハイブリッド |
1.5L 直噴ターボディーゼル |
1.2L 直噴スーパーチャージャー |
値引き予想額 | 10~15 | 18~23 | 20~23 | 25~28 |
リセールバリュー(A・B・C) | A | B | B | B |
発売年月日 | 2011年11月NEW | 2013年9月FMC | 2014年10月FMC | 2012年9月NEW |
最終変更時期 | 2014年12月MC | 2014年10月一部改良 | 2014年10月 | |
人気度(△A・B・C・D・E▼) | A | B | A | C |
トヨタ アクア
後期モデルにマイナーチェンジされる直前の11月度の販売成績も全乗用車トップを維持する好調さ。マイナーチェンジでさらに販売台数を増やす勢いだ。しかし、デビュー時には身内の「プリウス」ぐらいしかライバルが見当たらなかった同社にも、最近は新たな挑戦車が複数表れている。加えて、軽自動車は車種によってはハイブリッド並みの低燃費を武器に、販売台数ではしばしば「アクア」を追い越している。このような状況で勝ち残るには、生半可な努力だけではすまない。
さすがに大幅値引きをしなくても集客力のあるトヨタディーラーだけに、相変わらず降り出し価格は低い。しかし、上記の燃費も車両価格も同じ土俵のライバルを競合車種にすえれば、モデルの古さもあり値引き額を上乗せしてくる。特に、「フィット」が相手だと、俄然やる気を出すので是非有効に活用したい。キッチリと見積もりを取って、同じ値引き額が最低条件であり、上乗せできるのら「アクア」に決めたいという意思を伝えることで、商談の主導権を握れるはずです。
ホンダ フィットハイブリッド
「アクア」と全てにおいて同条件で挑むライバル。居住性、燃費、車両価格、全てを比較すると「フィットハイブリッド」に分があるのは、モデルの新しさから当然のこと。値引き額で「アクア」と勝負しなくてもすむ状況があった。しかし、その状況が一変。相次ぐリコール問題で評判を落とし、ホンダ製ハイブリッドシステムの信頼が揺らいでしまったのだ。
顧客への連絡と引き取り納車には担当営業マンが関わるのは、アフターサービスとして当然のことで、メカニックだけには任せられず、タカタのエアバック問題も追い打ちをかけ、同じ顧客のクルマを複数回引き取らなければならないはめになっている。当然販売促進のための時間は激減し、販売台数も思ったほど伸びず、モデルの古い「アクア」を独走させる結果になっている。
そうなると、新たに購入を検討しようとするユーザーにどんな影響が出るのか。それでも話題性のまだある同車目当ての来場者は多いので、週末のフェアには多数の商談が行われている。週があければ納車と引き取りの作業に没頭せねばならない営業マンと店長にとっては、店頭での販売が唯一のチャンス。結論を急がせるには値引きの上乗せが一番手っ取り早い。黙ってても出てくる値引き額より、こちらから提示するのがいい。即決を条件に20万円の値引き額を要求しよう。だめならゆっくり検討するとして帰り支度を。
マツダ デミオSKYACTIV-D
「SKYACTIVーD1.5」という小型ディーゼルエンジンで話題沸騰中の「デミオ」。カーオブザイヤーの受賞の勢いもあり、早くも上記2車に追いつく販売台数を記録している。専門家や海外での評価は高いが国内の販売成績が今一つ伸び切らなかった先代までと違って、久々の大ヒットの予感だ。ハイブリッドの自社開発を諦め、限られた資源を集中されて開発されたディーゼルエンジンは、ガソリン車並みの使いやすさと低燃費を料率させ、けっして価格は安寿ないのにかかわらず、受注の大半を占めるほどだ。
では、値引きのほうは?値引き番長のマツダとはいえ、これだけのヒット車は値引きしないのだろうか。実はそんなことはないのです。まず、ディーゼルの陰にかくれてはいるが、同じくSKYACTIV技術を採用している1.3L車は非常にバランスが良く、ベストチョイスと言われているのにかかわらず、ディーゼルの人気のおかげで売り上げ台数が物足りない。ディーゼルに集中した受注が納期を遅らせているのを受けて、ガソリン車の拡販に力を入れている。つまり、値引き解禁である。最初はガソリン車で交渉し、値引き額を出させた後、同じ値引きでディーゼル車を狙うのが効果的だ。一度つかんだ契約寸前のユーザーを、値引きが出来なくて諦めるなどということは、マツダの営業マンが許されることではない。必ずや良い条件提示がされる。
日産 ノート
各社の新しいモデルの登場で忘れかけていたが、その陰で着実に販売台数を積み上げているのが「ノート」。常にベスト10圏内に入る唯一の日産車でもある。日産ディーラーとしては「ノート」一本で攻めていくしかなく、顧客も選択になやまない。それが好調の理由かもしれないのである。
国内には「ノート」だけが採用する1.2Lスーパーチャージャーエンジンの実力は、瞬発力はないものの、コンパクトカーとしての低燃費と車両価格の安さから非常にコストパフォーマンスに優れ、居住性の高さ、広さも比較車両で一番ということも、もちろん理由だろう。
値引きもがんばる。ハイブリッド勢に燃費で届かない分値引けばユーザーの負担はない。もっとも車両価格の差で十分おつりがくる経済性なのだが、カタログ燃費にこだわる人には効果的だ。ハイブリッドに対して数十万円も安い車両価格に加えて、日々の燃費の差はお値引きでカバー、それ以外に何か問題は?・・ないです。