このクラスのミニバンを比較する際、どうしても2月に登場するホンダ「ジェイド」が中心になりそうだ。もちろん「ジェイド」自体は発売直後はこの値引き比較で取り上げるような値引き条件は不可能だろうが、この新機種の投入によって、トヨタ系のミニバンの値引きが加速する可能性がある。ハイブリッド専用車のため、「プリウスα」が標的になりそうだが、新車のアナウンス効果で、価格的には競合しないであろう「ウィッシュ」と「アイシス」の見込み客も、ひきつけることが考えられるからだ。
この強敵「ジェイド」の登場前に、いわゆる立体駐車場に入る高さのミニバンを値引きという側面から比較しておきましょう。
小型ミニバン値引き比較表
トヨタ ウィッシュ | トヨタ アイシス | トヨタ プリウスα | マツダ プレマシー | |
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トヨタ車取扱いチャネル | ネッツ店 | トヨタ店 | 全チャネル | |
車両価格(円) | 1,902,857~2,581,714 | 1,974,857~2,556,000 | 2,479,091~3,384,327 | 2,008,800~2,619,200 |
燃費(㎞/L) | 14.4~15.8 | 13.6~15.2 | 26.2 | 10.6~16.2 |
乗車定員(人乗り) | 6~7 | 7 | 5~7 | 7 |
エンジン形式・排気量 | 直列4気筒2.0L、1.8L | 直列4気筒2.0L、1.8L | 直列4気筒1.8Lハイブリッド | 直列4気筒2.0L |
駆動方式 | FF 4WD | FF 4WD | FF | FF 4WD |
値引き予想額(万円) | 24~27 | 25~28 | 15~18 | 30~34 |
リセールバリュー(A・B・C) | B | B | A | C |
発売年月日 | 2009年4月FMC | 2004年9月NEW | 2011年5月NEW | 2010年7月FMC |
最終変更時期 | 2012年4月MC | 2013年10月一部改良 | 2014年11月MC | 2013年1月MC |
人気度(△A・B・C・D・E▼) | B | C | A | D |
トヨタ ウィッシュ
ネッツ店での立ち位置は、「プリウスα」が予算オーバーになるユーザー、もしくは「オーリス」では少し狭いというユーザー向けというところか。あまり積極的にセールスしているイメージはないが、トヨタ店の「アイシス」以外ではマツダの「プレマシー」ぐらいしか競合相手はおらず、幸いなことに両車種ともに知名度は低い。最初に「プリウスα」の条件を聞いていると、「ウィッシュ」が非常にお買い得に思ってしまう。されに、「ヴォクシー」が同程度の予算で購入出来るとなれば、「ウィッシュ」の条件を煮詰めるより、車種選択で時間を食われかねない。
もちろんマツダの「プレマシー」が魅力的な条件を出すのは間違いないので、実際にマツダへ行かなくても、「プレマシー」も検討中であることを伝えるだけでも効果はある。さらに、ホンダから登場する「ジェイド」も気になる素振りもお忘れなく。
トヨタ アイシス
発売から10年たってもセールス的にはある程度売り上げているのはさすがトヨタだが、他社との競合では本来の利点が欠点と受け取られ気味である。「アイシス」で不満なら、販売するトヨペット店には新たに「エスクァイア」が投入されたため、スムーズに移行させられるということになっている。だが、「アイシス」を指名買いするとなると「エスクァイア」を全面否定することにもなり、営業マンのジレンマが伺える。営業マンにとっては、ネッツ店扱いの「ウィッシュ」が一番多く、やな競合相手になりそうだ。敵が出した条件は両社とも飲まざるを得ない状況をうまく利用したい。
逆に「プレマシー」には値引きで上回ることは不可能なので、車両価格の安さで納得しにくるだろう。
マツダ プレマシー
ミニバンにもかかわらず、走行性能には定評のある「プレマシー」。だが、3ナンバーの幅広ボディがさいわいしてか、販売はまったく振るわない。そうなるとマツダのディーラーは大幅値引きを仕掛けてくる。値引きでライバルに負けることだけは許されない社風があり、人気の「デミオ」やクリーンディーゼル車はさすがに引き締めるが、売れ行き不振の「プレマシー」なら値引きは相当額許される。競合車種はトヨタ車以外にも、マツダからOEM供給される日産の「ラフェスタハイウェイスター」を使うのも好条件を出させるのに効果がある。日産はOEMで一定量供給される車両を、完売することに力を入れるので、大幅値引きを提示してくるはずだ。もちろんマツダは、その値引きに上乗せしてくれる。
それだけにリセールバリューは望めないのだが、短期間で手放すつもりがなければ、こんなにありがたいことはない。クルマ自体は各メディアも特に走行性能に関しては絶賛しており、けっして後悔しないだろう。
競合車種があることをハッキリさせ、ダメもとでも50万円ぐらいの値引きを真剣に要求するのが鉄則。車両価格が「ウィッシュ」や「アイシス」に対して高めなので、値引き額で追うより、総支払額でライバルに合わせると、今回の比較では間違いなく最高額の値引き条件が出る車種だ。
トヨタ プリウスα
「ウィッシュ」とは価格帯が違うので、実際に競合するケースは少ないし、そもそも同店舗内で売られているので、参考程度になる。高価なイメージがある同車だが、意外にも価格は「ウィッシュ」の2.0L車なら同価格帯に入る。何といってもその26.2㎞/Lの燃費性能に魅力を感じて、実用的とはいいがたいサードシートであっても引きつけられるだろう。
失速気味の「プリウス」よりも、マイナーチェンジでエクステリアも一新し、人気が出そうな「プリウスα」。その値引きはデビュー時ほどではないにしてもガードは堅い。「アイシス」の値引きがありがたく感じるはず。トヨペット店でも扱うので、「エスクァイア」もからめて結論を早く出すためには、ある程度の値引きが必要である、という状況が造れるかどうかが勝負になりそうだ。OEMの「ダイハツ メビウス」もみたいという話もして揺さぶってみよう。そしてホンダ「ジェイド」の登場でどう変わるか、興味は尽きない。
大きな値引きが獲得できなくても、リセールバリューはトヨタ製ハイブリッドの常で折り紙付きなのでご安心を。買うときに安い「プレマシー」か、手放すときに高い「プリウスα」かという、究極の選択である。