2015年2月の新車販売台数を見ると、相変わらず軽ハイトワゴンの好調さが立ちます。
その中でもより室内高が高く、後部にスライドドアを採用したスーパーハイトワゴンと呼ばれるクラスが、その他のトールワゴンを凌ぐ人気ぶりです。
しかし、一車種だけ苦戦しているのをご存じでしょうか?それが今回取り上げるスズキの「スペーシア」です。
目次
好調な軽スーパーハイトワゴンだが
スペックでは勝っている点も多いはず。
なのに接戦どころかライバルに大差を付けられている原因は何なのか。
販売現場の苦悩を察しつつも、それなら値引きはどうなっているのかが気になります。
トップの「N-BOX」より、苦戦中の「スペーシア」の方が値引きが多いのでしょうか。
そこで、この軽スパーハイトクラスをスズキ 「スペーシア」を軸に、値引きという観点から比較することにしました。
軽スーパーハイトワゴン値引き比較表
スペーシア | タント | デイズルークス | N-BOX | |
---|---|---|---|---|
車両価格 | 1,263,600~ | 1,203,429~ | 1,275,480~ | 1,270,000~ |
エンジン形式 | 直列3気筒 658㏄ | 直列3気筒 658㏄ | 直列3気筒 659㏄ | 直列3気筒 658㏄ |
JC08モード 燃料消費率 | 29.9㎞/L~ | 28.0㎞/L~ | 26.0㎞/L~ | 25.6㎞/L~ |
値引き予想額 | 12~14 | 10~12 | 13~15 | 10~12 |
リセールバリュー(A・B・C) | A | A | A | A |
発売年月日 | 2013年3月NEW | 2013年9月FMC | 2014年2月NEW | 2011年11月NEW |
最終変更時期 | 2014年5月 仕様変更 | 2013年12月 一部変更 | 2015年2月 MC | |
人気度(A・B・C・D・E) | B | A | B | A |
スズキ スペーシア なぜか販売台数が伸びない
中心グレードはレーダーブレーキサポート装備で140万円の「X」。
もしくは上級装備車ほど売れる傾向もあるので、「スペーシア」とは別ラインとして設定されている150万円の「Xリミテッド」。
そして、それらに4WDも加えるとなるとさらに11万円ほどプラスされる。
「スペーシア」に限ったことではないが、1.5Lクラスのコンパクトカーどころか、ハイブリッド車にも届く価格帯には今更ながら驚かされる。
もはや軽は安い車ではないようだ。
もちろんそれは走行性能や装備、内外装の作り込みにも当てはまるのも事実です。
値引きは今回の比較車の中では多い部類に入るが、一番ということではなさそうだ。
これだけの実力がある同車が、大幅値引きすればもっと売れていておかしくはない。
それがこれだけ苦戦しているということは、そこまで値引きを拡大しなくても、他車種が売れているからかまわないということ。
逆に、絶好調の「ワゴンR」や「ハスラー」、そして新型「アルト」の販売に影響が出るような値引きは控えているとも言える。
ダイハツ タント クラストップのはずが「N」にやられる
年間販売台数でトップの座を得、「スペーシア」に販売で差を付けているのはいいとして、今年に入ってから「N-BOX」にこれだけ差を付けられるのは想定外であるはず。
「N-BOX」は2月にマイナーチェンジを受けたため、その前に最後の大セールを行った結果だが、2年以上古く、燃費でも差を付けていた「N-BOX」の躍進にかなりの影響を受けてしまった。
最大の特徴である「ミラクルオープンドア」の人気が子育て中の主婦層に大人気の同車だが、それ以外のユーザー層は両側スライドドアのあるライバル車にそっくり持っていかれている格好だ。
値引き額は「スペーシア」よりは下回る。
それでも売れるはずと言うことである。
「N-BOX」もマイナーチェンジ後は怖くないとも考えられるので、あわてて値引きを増やす必要もないということです。
ホンダの N-BOX 燃費がトップでなくても販売台数ではトップに
2月のマイナーチェンジまでに怒涛の大進撃でクラストップに返り咲いた「N-BOX」。
値引きもある程度多めに見ていたこともあり、販売力を武器にシェアを伸ばす日産の「デイズルークス」とともに値引き額は、グレードによっては15万円を超えることもあった。
さすがにマイナーチェンジ後は控えめな状況だが、せっかくの勢いを削がないように積極的な販売は続いています。
マイナーチェンジされたとは言え、肝心の燃費性能の大幅な向上は無く、フルモデルチェンジまでこのまま行くのであれば、値引きを抑えたくても無理な話である。
日産デイズルークス/三菱 ekスペース 他に売る車種がなければこれを売るしかない
軽スーパーハイトワゴンクラス最後の参加者となった日産三菱連合軍の「デイズルークス/ekスペース」は、先行する強力なライバルに当初から苦戦し、販売は思うように延びなかった。
それが、日産「デイズルークス」に限っては2014年の後半から急激に販売台数を伸ばし、シリーズ計での発表のため、「ルークス」単体の販売台数は把握できないが、「タント」と変わらないぐらい、つまり「スペーシア」より台数が出ているのは確実である。
その販売力はOEM車両の「モコ」の販売台数を見ればわかるが、「デイズ」シリーズもいよいよ本腰を入れたようだ。
日産の登録車が売れていないことも要因か。
値引き額は軽自動車であるが故に上限があるとは言え、軽スーパーハイトワゴンクラスで最も新しい車種としては異例の値引きである。
クラスで劣勢に立てば値引きも増える
「パレット」の後継としてライバルのダイハツ「タント」を追撃するため、名称までも変更して試乗に挑んだ「スペーシア」ですが、結果は「タント」はおろか、先にデビューしたホンダの「N-BOX」にも大差を付けられてしまっている。
さらに新興勢力である「日産/三菱」連合軍の「デイズルークス」にも、シリーズトータルの台数により詳細はわからないものの、恐らく抜かれているはず。
例えばホンダの「N-BOX」「N-WGN」、ダイハツの「タント」「ムーブ」の比率は約3対2でスパーハイトの方が高いのが今の流れですが、スズキはその比率が逆転して「ムーブ」の方が販売台数が多くなっています。
もちろんクラストップの「ムーブ」が売れているのは間違いないのですが、その人気に「スペーシア」がかなわないという事実でもあります。
国内で最も売れているが、強豪がひしめくクラス故に競争は激化。
少ない値引き幅の中で熾烈な販売合戦を繰り広げていると言えます。