「パッソ」は、扱いやすいボディサイズとゆとりある室内空間、クラストップレベルの燃費・環境性能を持ち、女性スタッフを中心に商品企画、及び使い勝手の良さを追求した1.0Lと1.3Lのコンパクト2BOXです。取り扱うカローラ店の主力車種である「カローラ」シリーズとはコンセプトも想定する購買層も異なる車種ですが、トヨタには同じクラスにネッツ店専売車種の「ヴィッツ」があり、同じメーカーとはいえ販売チャネルの違いから最大のライバルでもあります。
そこで低燃費と低価格が魅力の「パッソ」と「ヴィッツ」の1.0L車、そして三菱の「ミラージュ」を加えて、国産リッターカーの値引き比較をしてみました。
値引き比較表
パッソ | ヴィッツ | ミラージュ | |
---|---|---|---|
トヨタ取扱い販売チャネル | カローラ店 | ネッツ店 | |
車両価格 | 1,098,655~ | 1,155,600~ | 1,188,000~ |
JC08モード燃費率 ㎞/L | 19.0~27.6 | 17.2~25.0 | 23.2~27.2 |
月販目標台数 | 5,000台 | 8,000台 | 2012年度年間30,000台 |
2015年5月度 販売台数・前年比 | 10,498台 88.3% | 6,945台 104.2% | 4,691台 98.0% |
値引き予想額 (万円) | 20~23 | 22~25 | 15~18 |
リセールバリュー (A・B・C) | B | B | C |
発売年月日 | 2010年2月 FMC | 2010年12月 FMC | 2012年8月 FMC |
最終変更時期 | 2014年4月 MC | 2014年4月 MC | 2014年12月 一部改良 |
同クラス人気度 (A・B・C・D・E) | B | C | E |
トヨタ パッソ
ヴィッツを視野に交渉
「パッソ」の最低価格モデルは「1.0X”Vpackage”」の109.8万円ですが、アイドリングストップが非装備のために燃費は23.4㎞/Lと、他グレードの27.6㎞/Lとは見劣りします。外観も法人車っぽく色気もなにもありませんので、一般的なユーザー、特に女性には不向きでしょう。最低限の装備と見た目、そして燃費を考慮すると「1.0+Hana」の「C package」135.5万円がお勧めです。意外と高くなりますが、装備にこだわるほど高くなり、1.0L車でも150万円を超えてしまい、1.0L車を選んだ意味がなくなるので、このあたりが妥当な線です。営業マンも一押しだと思います。はなから「1.0X」を売るつもりはありません。
「パッソは109万だから安いと思っていたのに・・」と思うでしょうから、その思いをそのままぶつけましょう。つまり、その差額の約25万円値引いてくれるのが購入の条件ということを伝え、ディーラー側に検討させます。そして、だめなら「ヴィッツ」を買うという姿勢も必ず最初に伝えておきましょう。検討するのはこちらではなく、あくまでディーラー側ということです。答えが出る間、勝手にボディカラーやオプション選びで盛り上がり、さも条件が100%通ったかのように過ごしていれば、全額とは言わないまでも、かなり近い値引きが出るはずです。
トヨタ ヴィッツ
パッソを土台にそれ以上を狙う
「ヴィッツ」も強力なライバルがひしめく1.3L車(トヨタ内にも多くあり、同じ店舗にも)よりも、目立った競合車種がいない1.0Lクラスが主力になっており、販売成績も常に上位にランキングされています。最大のライバルはカローラ店の「パッソ」で、女性ユーザーにとっては「カワイイ」度が上のようです。デザインも精悍なイメージで、男性ユーザーには「ヴィッツなら乗れるが、パッソは勘弁してくれ」というご夫婦もいるでしょう。
「パッソ」同様、最低限満足できる仕様ということで、「1.0F“SMART STOPパッケージ” 」137.2万円を選択するのが妥当でしょう。当然ですが、値引きを引き出すためには「パッソ」との相見積もりは必須です。チャネル間での何らかの決め事が存在しるのは確かです。しかし、店側にとっても営業マンにとっても、1台成約できるのにわざわざ他店に譲ることはないでしょう。あとで揉め事があったとしてもこちらには関係ありません。「パッソ」と同条件にまでこぎつけたら、「パッソ」と「ヴィッツ」の差額約2万円も最後の一押しでチャラにしてもらいましょう。
三菱 ミラージュ
魅力の少ない車種なら安く買いたいが
同じ1.0L車がメインながらも、トヨタの2車に対してライバルとは言い難いほどの販売台数でしかないのが「ミラージュ」です。低価格低燃費で登場した同車ですが、アセアン向けの低コストのクルマ造りがあまりにもチープで、国内のユーザーにはそっぽを向かれてしまいました。低価格とは言っても、新たに国内向けに開発するよりはコストがかからないということで、タイからの輸送コストを含め、販売価格はそれほど安いわけではありません。上記2車の様にカタログ値最高燃費の車種を選ぶと「M」の131.7万円となり、「パッソ」「ヴィッツ」より高いのです。室内の広さも燃費も「パッソ」にけっして劣っているわけではないのですが、納得のいかない価格ではあります。
それでは大幅値引きでセール中かというと、それも出来ないのが現状のようです。値引き幅も少ないようで、販売する側もかなり苦戦しています。なんとかトータル金額で安い「ek」にならないようにしたいところ。さすがに軽よりは登録車の方が利益があるので。なので、最大限の条件は提示してくれますが、あまり期待は出来ないと思われますが、交渉はトヨタの2車と同額を条件に進むべきでしょう。
真のライバルは軽トールワゴン
「パッソ」「ヴィッツ」そして「ミラージュ」という、ほんとなら低燃費コンパクトカーの代名詞になるはずの車種。それがリッターカーという言葉さえ死語になりつつあります。ひとつ上の1.3Lクラスのコンパクトカーが、燃費や走行性能で格段の進化をする中で、とりのこされたこれらリッターカーは、新たに軽トールワゴンという強敵にさらされています。時代はどう見ても後者に有利で、唯一の強みは割高な軽トールワゴンと同等の価格設定であり、さらに値引けば軽より安くなるということ。つまり、今以上に値引きに魅力がないと、リッターカーを選ぶ根拠が無くなってしまいそうなクラスではあります。