2015年10月に新型が発売された「エスクード」。
ボディサイズとともにエンジンもダウンサイジングされ、1.6Lとなったことで、同年2月に発売された「SX4 S-CROSS」に近い車種となっています。
そして旧型「エスクード」も2.4L車を4WDのみ残して「エスクード2.4」として併売させたことで、スズキのクロスオーバーSUVラインナップは「SX4 S-CROSS」「エスクード」「エスクード2.4」と、異例の品揃えになっています。
スズキディーラーにおいてはどのような差別化をおこなっているのでしょうか。
そこで、「エスクード」と他車との値引き比較と同時に3車種の値引き比較もしてみました。
値引き比較表
スズキ車種名 | エスクード | エスクード2.4 | SX4 S-CROSS |
---|---|---|---|
車両価格(円) |
2,127,600 ~2,386,800 |
2,181,600 ~2,311,200 |
2,041,200 ~2,257,200 |
JC08モード燃費(㎞/L) | 17.4~18.2 | 9.6~10.6 | 17.2~18.2 |
値引き予想額(万円) | 24~26 | 30~33 | 25~28 |
リセールバリュー(A~C) | B | B | B |
発売年月日 | 2015年10月 | 2005年5月 | 2015年2月 |
最終MC | 2012年7月 | ||
最終変更時期 | 2015年10月車名変更 | ||
同クラス人気度(A~E) | C | D | D |
メーカー・車種名 | ホンダヴェゼル | マツダCX-3 | トヨタラッシュ |
車両価格(円) |
1,931,000 ~246,000 |
236,000 ~3,024,000 |
2,020,114 ~2,260,800 |
JC08モード燃費(㎞/L) | 19.0~26.0 | 21.0~25.0 | 13.2 |
値引き予想額(万円) | 15~20 | 20~25 | 20~25 |
リセールバリュー(A~C) | A | A | C |
発売年月日 | 2013年12月 | 2015年2月 | 2006年1月 |
最終MC | 2008年11月 | ||
最終変更時期 | 2015年4月一部改良 | 2013年1月一部改良 | |
同クラス人気度(A~E) | A | B | E |
スズキ3モデルの比較
新型「エスクード」「SX4S-CROSS」「エスクード2.4」どれが買い得か?
新型「エスクード」はクロスオーバーに軸足を移したのが大きな特長になる。
この新型「エスクード」は、生産はハンガリーのマジャールスズキが担当し、欧州を中心に販売されています。
その1.6Lエンジンと共通のプラットフォームなのが「SX4S-CROSS」。
同じくハンガリーで生産され欧州を中心に販売されています。
そして「エスクード2.4」として併売されることになった旧タイプは、いわゆるクロカン(クロスカントリー)と呼ばれた初代を引き継ぐモデル。
もちろん2.4Lで4WDのみの設定。
この3モデルがスズキのクロスオーバーSUVラインナップ。
さらに「ジムニーシエラ」軽自動車の「ジムニー」「ハスラー」も含めると、国内メーカーでも他に例を見ないSUV天国となっています。
登録車に限って言えば半数がSUVという状態。
スズキディーラーとしてはどのように売り分けているのでしょうか。
2.4Lの「エスクード2.4」も含めて車両価格が横並びなのですからユーザーにとっても悩むところです。
値引き額が最も大きいのは「エスクード2.4」ということで間違いないでしょう。
発売から10年以上経過したモデルであり、近年になって需要が多い2WDも選べない設定。
これに競合車種として、同じくモデルの長いトヨタの「RAV4」を選べば大幅値引きへの期待が膨らみます。
「SX4 S-CROSS」と新型「エスクード」ですが、新しい分新型「エスクード」の方が今のところ渋め。
しかし、月販の販売目標が600台の「SX4 S-CROSS」に対して倍の1200台という設定台数の新型「エスクード」が値引きを拡大するのは時間の問題です。
この数字、先ごろマイナーチェンジされたスバルの「XV」の設定台数1400台/月と大差ないのですから。
ホンダ ヴェゼル
クラストップではあっても上向かない販売状況は購入者にはチャンス
2015年度上半期(2015年4~9月)の販売台数が31,843台となり、SUVの新車登録販売台数でNo.1を獲得し今最も売れているSUVが「ヴェゼル」。
コンパクトカーの「フィット」がベースという事もあり、悪路の走行性能がどうのというより都会が似合う、いわゆるクロスオーバーSUVである。
当然ハイブロッドも含めて「フィット」の低燃費性能と使い勝手を引き継いでいる。
これだけ売れている「ヴェゼル」ですが、前月比で70%、前年比では50~60%と販売台数は伸び悩んでいるのです。
どんなに成績が良くても、値引かないわけにはいかないのが、現在の全乗用車が置かれた共通の現実なのです。
さすがに最初から大盤振る舞いとはいきませんので、マツダの「CX-3」、新型「エスクード」を競合相手に立てて揺さぶる必要があります。
マツダ CX-3
ディーゼルへの逆風は購入者への追い風
様々なパワーユニットが混在する国内のクロスオーバーSUV市場ですが、重量の有るSUVに最も適していると言われるのが、マツダのクリーンディーゼル。
「CX-3」には最少排気量の1.5Lを搭載する。
魅力は2.5Lガソリンエンジンに匹敵するその高トルク。
そして2WDの販売比率も高いクロスオーバーSUVですが、予知能力が備わると言う先進の4WDシステムも。
発売時には話題を集めた同車ですが、ディーゼルエンジンに逆風が服と言う予想だにしなかった事態になり、今後しばらくはディーゼル冬の時代に入りそうな予感。
ガソリンエンジンのラインナップを持たない「CX-3」だけにこれは販売に大きな影響が出るのは必至です。
そうなるとディーゼル車だけは抑えていた値引きも、どうやら大幅に拡大しなければならないでしょう。
競合車の相見積もりは不要で、ディーゼル車に決めかねる態度を貫くだけで十分。
必ず期待通りの条件が提示されます。
ダイハツ ビーゴ/トヨタ ラッシュ
トヨタディーラーよりダイハツディーラーでじっくりと
2006年の発売は、今回の比較車種の中では「エスクード2.4」に次ぐ長寿モデル。
目立たないながらも、地方部では人気の車種で、ユーザーには女性が多いのも特徴。
クロスオーバーがなんだか知らなくても、使いやすい大きさで、どんな天候でも安心して使えるよいうことが、クルマが生活の必需品となる地域で重宝されています。
とは言え、都市部においてオシャレな新型クロスオーバーSUVと比較されると弱い。
燃費や走行性能そして居住性能と勝てるスペックが一つもない。
唯一頑丈なフレーム構造だけだが、現在のクロスオーバーSUV選びにおいてはカウントされません。
ということで、値引き、それも大幅値引きを狙っていいのではないでしょうか。
他車も検討しているという意思表示程度で交渉に臨んでいいでしょう。
相手も立場がわかっているので交渉はしやすいのですが、トヨタですと、「アクアX-URBAN」を勧めてくる可能性が高く、特に特別仕様車「X-URBAN”Solid”」が拡販中のため一押しできます。
そうなると、ダイハツ店の方がじっくり交渉できるかもしれません。
狙いを絞ったクルマ選びを
国内の自動車販売自体が上向かない状況では、どんなに最新の車種であっても「新型ですから」と構えていられないのが現状。
特に登録車のクロスオーバーSUVクラスにおいて、強いとは言えないスズキ、しかも不人気のレッテルを貼られている海外生産車(主にタイ生産車ですが)、税制上不利な1.6Lという排気量となれば、おのずと厳しい状況になるのは目に見えています。
それでも、世界中の自社ラインナップをやりくりしてでも国内に投入するのは、それだけクロスオーバーSUVが重要なクラスと考えての事でしょう。
これだけ車種が増えるとユーザーも興味を抱きますが、多すぎる選択肢は選択そのものを飽きらめてしまうという人間の行動も報告されています。
購入予定者にとっては最新機能満載のモデルか、とにかく割安感のある」モデルか、焦点を絞ったクルマ選びが求められることでしょう。