40.8㎞/Lという低燃費性能で登場したNEWプリウス。
ヒット間違いなしの大本命車種のフルモデルチェンジは、今年度最大の話題と言っていいでしょう。
そして、その話題を裏切らない成果として、正式発売までに受注予約だけで6万台を超え、納期も翌年の春以降となっています。
しかし、低燃費性能は期待通りでしたが価格も引き上げられたため、ユーザーにとっては痛し痒しではないでしょうか。
せめて値引きしてもらえたらと考えるのは当然。
あるいは低燃費性能が向上した他のハイブリッド車の値引きはどうなのでしょうか。
そこで新型「プリウス」を軸に、ハイブリッド車の値引きを比較してみました。
値引き比較表
プリウス |
カローラ アクシオ ハイブリッド |
グレイス ハイブリッド |
アクセラ ハイブリッド |
|
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車両価格(円) | 2,429,018~ | 2030400~ | 1,950,000~ | 2,473,200~ |
JC08モード 燃費(㎞/L) |
34.0~40.8 | 33.8 | 29.4~31.4 | 31.0 |
値引き予想額 (万円) |
0~5 | 15~18 | 20~23 | 25~28 |
リセールバリュー (A~C) |
A | B | B | C |
発売年月日 | 2015年12月 | 2013年8月 | 2014年12月 | 2013年11月 |
最新改良年月日 | 2015年3月MC | 2015年9月 |
2014年10月 一部改良 |
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同クラス人気度 (A~E) |
A | B | D | D |
新型プリウス
オンリーワン故に現金値引きは当分無理か
フルモデルチェンジされた「プリウス」は、歴代モデルの発売直後と同様に多くの受注残を抱えており、納期も当然のように数か月先という状況。
こうなると値引き交渉はほとんど不可能と言っていいでしょう。
千台モデルでも同じ状況になっていましたが、その時にはホンダの「インサイト」という強力なライバルが存在していました。
結果的には完敗しモデル消滅に至ってしまいましたが、このライバルが存在した影響は大きく、「プリウス」自体の価格設定にも影響を及ぼし、旧タイプを併売させるという妙手まで選択せざるを得なくなってしまいました。
今回はそのような強力なライバルは見当たらず、価格設定もかなり強気になっています。
そういう意味ではユーザーにとって、強力なライバルを発売出来ない他メーカーを恨みたくもなります。
燃費こそ目を見張るものがありますが、コストパフォーマンスはけっして高くない「プリウス」。
まともな値引きを期待するにはしばらく待つか、協力なライバルの出現を待つしかなさそうです。
発売直後の施策ととして、旧「プリウス」ユーザー向けの下取り対策は正式発表前から行われており、早期予約特典以外は継続されます。
多銘柄対策は発表後から取り入れられ、車種を問わず下取り査定の上乗せが行われており、この時期だけは買い取り専門店よりも有利な条件も期待出来るでしょう。
トヨタ カローラアクシオハイブリッド
相手はプリウスではなくグレイス
ハイブリッドシステムを搭載した現行モデルは、「アクシオ」においては上級車種という位置づけになり、低価格中心の「アクシオ」においては比率も高くないと思われます。
それでは値引きはどうなっているのでしょうか。
カローラ店の利益車種というポジションのため値引きは少なめで、「プリウス」のフルモデルチェンジ後でも大きな影響は無いようです。
ただし、2015年3月のマイナーチェンジ以降、「アクシオ」のNA車がコストパフォーマンスではハイブリッド以上と非常に評判が良く、予想以上に売れ行きは鈍っているという現状があります。
他社と競合させる作戦はというと、ホンダの「グレイスハイブリッド」、マツダの「アクセラセダンハイブリッド」が当てはまりますが、本命は「グレイス」
価格とスペックが接近しているために、まともに値引き比較が可能な競合車です。
「グレイス」は値引きで「アクシオ」に勝てるならば必ず上乗せ条件を提示してくるでしょう。
目標はまず、20万円ですが、「グレイス」次第ではありますが可能な数字です。
ホンダ グレイスハイブリッド
ポジションが定まらず販売低迷中だけにトヨタ勢よりお買い得な状況
発売当時は「カローラアクシオハイブリッド」に対抗するホンダの刺客として話題を集めましたが、当の「「カローラアクシオ」がさほどハイブリッドの拡販を行わず、「グレイス」の一人相撲になってしまい、ハイブリッドセダンの活性化にはならなかったようです。
ホンダとしてはかつての「インサイト」のような「プリウス」に匹敵するモデルはありません。
したがって「グレイス」は「フィットハイブリッド」と「アコードハイブリッド」の幅広い層をカバーする役割をになっているのですが、現状ではうまく行っていないようです。
低燃費に特化する「プリウス」に対抗するには荷が重く、ともにセダン市場を活性化するはずの「アクシオハイブリッド」は反応が鈍く、「グレイス」自体のポジションがどこにあるのかディーラーにとっても悩むところでしょう。
ガソリンNA車が加わったことでさらに販売が鈍化する「グレイスハイブリッド」の値引きは、対トヨタ製ハイブリッド車よりも上回ることは間違いありません。
マツダ アクセラハイブリッド
燃費で大差を付けられたなら値引きで大差を
トヨタからの技術供与により、旧「プリウス」に採用される「THSⅡ」は2.0Lエンジンと組み合わせられ、スペックは「プリウス」に合わせられるために見るべきものはないが、実際の動力性能はトヨタ製1.8Lエンジン+THSⅡを凌ぐと言う評価を得ています。
最大の問題点は車両価格の高さでしたが、新「プリウス」の価格との比較ではほぼ同水準になっています。
こうなると燃費をまともに比較されてしまい、やはり不利になるのはしかたないところ。
燃費至上主義のセダン系ユーザー~とっては、走行性能より燃費なのです。
クリーンディーゼルに社運を賭けるマツダでは、ハイブリッドもあります程度の車種でしかなかったのですが、ディーゼルエンジンに逆風が吹く現在、いやでもこのハイブリッドを拡販することがディーラー営業マンに求められています。
マツダ系営業マンにとって拡販=値引きとなりますから「プリウス」を競合相手に交渉することをお勧めします。
燃料費の急落が影響を及ぼすハイブリッド車の優位性
最近(2015年12月16日現在)のニュースではガソリン価格が8週連続、5年11ヶ月ぶりとなる安値を記録したと伝わっています。
一部地域や会員価格では120円/Lということも珍しくなくなっています。
そうなると低燃費を武器にする車種、特に割高なハイブリッド車にとって150円/Lを超える時代とはかなり異なる状況になってきます。
ユーザーもコストパフォーマンスを考え、単に低燃費だけで飛びつくことはないはずです。
僅かな燃費の差であれば車両価格の安い車種の方がトータルで得になり、同価格なら値引きの多いほうが圧倒的に得になるのです。
他を大きく引き離す燃費で値引き0の「プリウス」を選ぶかどうか。
電卓片手に慎重なクルマ選びが必要となるでしょう。