2016年4月にフルモデルチェンジされた「ブーン」は、今までのトヨタとの共同開発から一転、ダイハツが開発から生産まで担当することになり、姉妹車だって「パッソ」はダイハツからのOEM供給車種ということになりました。
そして、ダイハツ製の3気筒1.0Lモデルのみというラインナップになり、販売価格も115万円台からという安さに加え、28.0㎞/Lという低燃費で、軽自動車からの代替ユーザーを取り込むという従来の「待ち」の方針から、まともに軽自動車と競合しユーザーを「取りに行く」という方向に転換しました。
「軽じゃなくてK」というのは「パッソ」のキャッチフレーズですが、軽自動車がメインのダイハツはどういった販売戦略を取るのか、値引きはどうなるのかが気になります。
そこで「ブーン」と「パッソ」を中心に、ライバルとされる軽自動車と、コンパクトカーの値引きやお買い得感を比較してみることにしました。
値引き比較表
ブーン | イグニス | マーチ | |
---|---|---|---|
車両価格 | 1,150,200~ |
1,382,400 ~1,875,960 |
1,151,200~ |
JC08モード燃費(㎞/L) | 24.4~28.0 | 25.4~28.8 | 18.4~23.0 |
値引き予想額(万円) | 10~13 | 10~12 | 21~23 |
リセールバリュー(A~C) | C | B | C |
発売年月日 | 2016年4月 | 2016年1月 | 2010年7月 |
最終変更時期 | 2014年5月MC | ||
同クラス人気度(A~E) | B | B | B |
キャスト | ハスラー | スイフト | |
車両価格 | 1,120,400~ |
1,078,920 ~1,844,640 |
1,316,520~ |
JC08モード燃費(㎞/L) | 25.0~30.0 | 24.2~32.0 | 19.4~26.4 |
値引き予想額(万円) | 8~12 | 10~13 | 20~23 |
リセールバリュー(A~C) | A | A | B |
発売年月日 | 2015年8月 | 2014年1月 | 2010年8月FMC |
最終変更時期 | 2015年12月一部改良 | 2015年11月仕様変更 | |
同クラス人気度(A~E) | B | A | B |
ダイハツブーンそしてパッソ
ベース車とOEM車の力関係は1対5
トヨタの100%子会社になるダイハツにとっては、自社開発を許される最も大きいクラスは、この1.0Lコンパクトカーまで。
開発から生産まで一手に引き受けるわけだから、否応でも販売に力が入るはず。
しかし、前モデルの販売目標80台/月に対して今回は1,000台/月が目標と、相変わらず控えめ。
それに引き替えOEM車の「パッソ」は同5,000台と「ブーン」の5倍が目標です。
これでもかなり控えめな数字で、フルモデルチェンジ直前の3月であっても軽くクリアしているので、派手なTVCMを大量に流していることからも、発売後しばらく1万台前後は売り上げる可能性はあります。
「ブーン」のTVCMはまだ見ていない人も多いのではないでしょうか。
幾ら売っても利益の出ない軽自動車販売から脱するチャンスではないかという見方もありましたが、トヨタの100%子会社となったことで、ライバルのスズキのように普通車販売に力を入れる理由がなくなったようです。
むしろ、軽自動車の売れ行きに影響しない程度に売ることが求められ、「パッソ」が売れれば生産効率も上がり、利益も確実に出るという訳です。
ブーンとパッソの値引き比較
ダイハツのお店に行く方がお得かも
そこで、値引きですが、「パッソ」はトヨタのラインナップの中では軽を除き最も利益率の低い車種ですから値引きは多くは望めず、時間をかけてさらに値引いてまでして売る手間をかけるぐらいなら、他の車種を売る方を優先するため、値引き交渉は難しい。
特にベーシックなグレードはほとんど無理で、150万円を超える上級グレードなら話は別。
「ブーン」であれば交渉しやすいのですが、上記の理由で軽自動車以上の値引きは現時点では難しく、10万円は超えても15万円はどうかという程度ですが、「ブーンシルク 」など上級モデルなら十分可能と見られます。
「パッソ」を扱うカローラ店と競争はしないという協定はありますが、ディーラーや営業マンにとっては売ったもの勝ちでしょう。
軽自動車との比較
値引きを引き出すなら相手はスズキ
ダイハツでは「キャスト」、スズキなら「ハスラー」「ワゴンR」と人気のトールワゴンが比較されるでしょう。
特に「キャスト」はスタイリッシュで装備も充実した「軽離れ」した高級感が売り物の人気車種だけに、「軽並み」の「ブーン」との比較は興味深いものがあります。
「キャスト」の販売台数は「ブーン」の販売目標の10倍以上の実績があるために、軽の中でも値引きは少なめ、トヨタには供給していないだけにダイハツのみの話ですが、価格も変わらないレベルなので、どちらかが「かませ犬」になるか知れません。
「スタイリングも似えいる「キャスト」を食うぐらいに「ブーン」が売れればいいのですが、実際にはその逆の可能性が強いのです。
スズキでは「ハスラー」「ワゴンR」がツー・トップ。
中心グレードのSエネチャージ車の価格は割高なので、「ブーン」とは共に競合します。
ただでさえダイハツに行かれれば、「ムーブ」や「キャスト」?ぽ言った競合車があるので、スズキディーラーとしては何とかお買い得感を出したいところ。
スズキ車の相見積もりを取るのが「ブーン」攻略の早道であると同時に、「ブーン」の見積りは、スズキ車攻略にも使えるでしょう。
コンパクトカークラス 出だしでつまずくイグニスとお買い得感いっぱいのマーチ
スズキの店舗には軽以外にも、発売間もない「イグニス」があります。
当然勧めてきますが、新規機種ゆえに値引きは少ない。
はずなのですが、実は前評判と違ってそれほど台数が伸びていないようなのです。
2月から発売されたのですが、3月の自販連調べの登録台数統計ベスト30には入らず、目標としていた1,500台/月はクリアしているものの、「ソリオ」やフルモデルチェンジ直前の旧型「パッソ」には遠く及ばない台数。
「スイフト」「ソリオ」に次ぐ第三の柱に育てたいスズキとしては、「ブーン」に対して値引きしてでも引き留めにくるでしょう。
20万円の値引き目標も可能とみます。
値引き狙いなら日産の「マーチ」。
1.2Lながらも「ブーン」と同じく115万円台からというお買い得感のある価格設定を全面に出してのアプローチは常套手段。
値引きもためらいません。
上級装備車の「ブーンシルク」には、同じコンセプトの「ボレロ」もあり、燃費こそ下回りますが、それを補うだけのお買い得感は無視できない提案でしょう。
「ボレロ」なら23万円以上、それ以外でも「ブーン」の条件に確実に上乗せしてきます。
値引きだけじゃないお得な対策が用意される発売直後のセール
値引き額ということだけなら、出たばかりで低価格設定の「ブーン/パッソ」は低く、もう少し待つのが得策ですが、フルモデルチェンジ直後のセールでは、には販売対策が盛りだくさん用意されているので、値引き額以外にも下取り価格が上乗せされるなど、実質的な出費が少なくなるなど、お得感があります。
ですので、値引きの額だけにとらわれずに判断することが必要になります。